「松下幸之助と「新しい人間道」の提唱」第26回松南志塾_綜學勉強会を開催しました!
2024/02/04
本学勉強
こんにちは、松南志塾の豊嶋です。
松南志塾のOB・OGである豊嶋(インターン7期)と松葉(インターン11期)で、「綜學勉強会」を学生や20代の方向けに、月に1回のペースで開催しております。
この勉強会の開催の背景・目的として、現在豊嶋と松葉が綜學院(東京・京都)で月に1回林英臣先生のもとで、松南志塾の原点でもある「綜學」を自主的に学んでいるのですが、そこでの学びや、自分たちが得た気づき等を、学生や20代の若い世代の方々に対して自分のことばでお伝えし、一緒に未来や社会を良くするために切磋琢磨し合いたい!!という思いからです。
そして2024年1月27(土)に第26回目を開催しましたので、
簡単にご報告です。
(今回は主催者含め4名で開催いたしました。
ご参加ありがとうございました!)
さて、今回のテーマは前回に引き続き松下幸之助さんです。
「松下幸之助と「新しい人間道」の提唱」です。
前回は「人間観」でしたが、「人間道」の提唱になります。
当時松下幸之助さんは、現実世界において人が争い合い、憎しみ合いをする中で、
「本来の人間には崇高で偉大な使命がある」ということを、世の中に訴えるべく最初に人間観を提唱しました。
その後、世間から肯定的な反応が返ってきたため、この「人間観」を世の中に更に広く共有していくために、「人間道」、つまり「人間観を生かす道」を提唱することとなりました。
この「人間道」で述べられている内容には、大きく3つの柱があります。
❶容認:あるがままを認めて受け入れる
❷処遇:適切な処置
❸礼:豊かな精神
まず、1つ目の「容認」については、あるがままを認め受け入れることが大事ということです。原文(抜粋)は以下の通り。
第一に大切なことは、人も物もすべてをあるがままに容認するということです。神のごときといってもいいような高い面と、動物にも劣るような面を両方そなえているのが現実の人間だと思います。(中略)綜合してみれば王者なのだという見識に立つということが大事なのです。あるがままにみとめるというのは、いわゆる事実をみとめる、容認するということであって、決してこれをそのままよしとする、是認するという意味ではないということです。
世の中全体を見渡すと、人は争い合い、憎しみ合い、まさに悪魔のような側面と、一方で、愛、誠、調和に満ちたような「神様」のような側面がある。
そういう両方の側面を持っている事実一切をあるがままに認める、容認することが大事だと述べています。
ただし、「悪はそのままで良い」というのではなく、悪は悪として一旦受け入れた上で、
それをどう活かすのか(処遇するか)ということが大事ということです。次に2つ目の「処遇」についてですが、
人間万物いっさいの正しい処遇というものは、それぞれの天性の特性、特質をよく知らなければできないと思います。(中略)悪というものも、これはいわば人間生活の一つの要素なのであって、これを絶無にすることは不可能だとも考えられます。
一方では、極力少なくするように工夫しつつも、同時にその悪の力とか、悪の働きというものをよく見極めて、これをお互いの共同生活に活用、善用することはできないかというように考えてみたいのです。
そういった悪の存在をありのままに容認して、悪は悪なりの処遇の道を考えるということです。
この世の中に「絶対的に悪」というものは存在せず、
「絶対的に悪」と思われることも、善用するように考えるべきだと述べられています。
例えば、林先生が仰っていましたが、病気においても、考え方次第では「絶対的に悪」というものではなく、生活、呼吸、食事に問題があることを教えてくれるものだと捉えれば、そこから身体を本来のあるべき状態に整えるようになったり、また医学の進歩に繋がったりということにもなるので、「病気=絶対的な悪」ということにはなりません。
松下幸之助さんは、万物一切、そして人間を大肯定した思想家ですが、松下翁の心の温かさ・懐の深さを感じさせていただくような内容です。
最後3つ目に大事なこととして「礼」を述べておられます。
人間道とは容認と処遇と礼の3つの柱によって成り立っているとも言えましょうが、同時に礼の精神は先の二つの柱を支え、これをスムーズに働かせる潤滑油の役目をも果たすものだと思います。
人も物もすべてのものを天与のものとして感謝し、その感謝の心でいっさいのものをあるがままにみとめ、そのそれぞれの特質、価値にしたがって適切に処遇し生かしていくということが大事なのです。
人間道とは、礼の精神と衆知にもとづくことによって、より正しく、より豊かに、より円滑にあゆむことができるようになってくるわけです。
「礼」こそが、重要なものだと述べられていますが、
ここでいう「礼」とは礼儀作法・行儀が良いかどうかではありません。
「礼」とは、自分自身の心、つまりは「おかげ様」、「お互い様」、「謙虚」、「敬意」といった、
「心」を形にするものだということです。
「礼」とは人間関係を円滑にする潤滑油であり、これなくしてより良い人間関係をつくることはできません。挨拶1つあるかないか、日々の些細な言葉・言動がどうかによって、簡単に人間関係もこじれてしまいます。改めて、生きていく上での根本的なことを見直す必要がある、襟を正させて頂くような内容が3つ目に述べられていました。
なお、最後に松下幸之助さんは、
人間道に立って歩むための教育なり訓練というものが、非常に大事になってきます。
とも述べられていました。学問は、過去の先人が残してきた叡知の集積ではありますが、
「人間を磨く」「人間道を貫く」ためにも、学問を学ぶ必要があるということです。
今まさに学んでいる「綜學」は、現代に生きる我々が学ぶべき、先人の叡知が詰まった学問です。
引き続き仲間と共に学びを続けていきたいと思います。
参加者からは、以下のようなコメントを頂きました。
“礼”の部分が一番印象に残りました。
自分の心は自分で満たした上で、人を思いやったり、人を大切に思う心が人間社会で生きる上でのベースなんだと再認識できました
自分自身に対しても、家族や周りの方々に対しても、物や自然、、あらゆるものに対して、気持ちのこもったありがとうを言えるようになりたいです。
次回2月度の勉強会は、参加者のメンバーと、山口県萩市の松下村塾に訪問しますので、Zoom勉強会はなく、
3月23日(土)に実施します!ご興味ある方は是非ご参加くださいませ。