「韓非子から人をまとめる知恵・心得を学ぶ」第16回松南志塾_綜學勉強会を開催しました!
2022/09/19
本学勉強
こんにちは、松南志塾の豊嶋です!
松南志塾のOB・OGである豊嶋(インターン7期)と松葉(インターン11期)で、「綜學勉強会」を学生や20代の方向けに、月に1回のペースで開催しております。
この勉強会の開催の背景・目的として、現在私と松葉が綜學院(東京・京都)で月に1回林英臣先生のもとで、松南志塾の原点でもある「綜學」を自主的に学んでいるのですが、そこでの学びや、自分たちが得た気づき等を、学生や20代の若い世代の方々に対して自分のことばでお伝えし、一緒に未来や社会を良くするために切磋琢磨し合いたい!!という思いからです。
そして8月27日(土)に第16回目を開催しました。
今回は主催者含め5名で開催することができました!!なんと!1名高校生も来てくれました!
ご参加の皆さま有難うございました!!
一緒に人間学を学ぶことができる仲間がいることが有難いなと実感する次第です。
さて、今回のテーマは韓非子です。
①韓非子の思想とは?韓非子を学ぶ意義
②韓非子の生立ちについて
③韓非子から学ぶリーダーの心得
という構成で学んでいきました。
もくじ
韓非子の思想とは?韓非子を学ぶ意義
まず全体像のお話ですが、綜學で学ぶ主な中国思想は4つです。孔子、老子、韓非子、孫子。
その全体感を整理すると以下のような図となります。
あくまでも分かりやすくするためのイメージであり、明確に分類すること自体が目的ではないので、その点はご容赦ください。
孔子:人としてのバックボーンを養うもの。
老子:人と私の器量、懐の深さを養うもの。
韓非子:人をまとめるための知恵(法・術)
孫子:大切なものを守るために、負けないようにするための知恵。
これらをしっかりと学び、自分の血肉・知恵としていくことで、
バランスよく自己の人間力を高めていくことができると考えています。
孔子、老子は前回までに学びましたので、それぞれ以下のブログをご参照ください。
次に本題となる韓非子の思想についてです。
まず韓非子は、この世の中の大半は【中常=普通の人】であると韓非子は説きます。
中常(普通の人)が大半で、彼らがこの世の主役となるのだから、そういった人がリーダーの地位についても、
世の中を治められるように「法・術」が必要だと説いたのが韓非子です。
よって、法律で治めようとしている点において、「法治主義」、「法家思想」と呼ばれています。
一方、前々回に学んだ孔子は、リーダーは自分の人間力、徳によって世の中を治めるべきという「徳治主義」の思想を掲げています
そして、孔子は、最も人徳に優れた人を「聖人」、まだ発展途上だけれども自分を磨いて、世のため人のために生きようとしている人を「君子」と呼びます。
聖人・君子のみがリーダーとしてふさわしく、それ以外の人は、「小人=つまらない人」として、リーダーには足りえないと定義しています。
この点において、韓非子の場合は、どんな人でも「法・術」があれば世の中を治められるとしているので、
「法・術」で世の中を治めるという部分だけ聞くとドライな人物という印象を受けるかもしれません。
しかし、世の中の大半の人を見捨てようとしていない点において、非常に愛情深い人物であるとも捉えることができます。
韓非子の生立ちについて
では、そんな韓非子の思想を創った生立ちとは?という話なのですが、韓非子は「韓」の国の王の子として生まれました。
一方、母は貧しい卑賎の生まれです。ですので、王族の中では蔑まされながら生き、また王族の外の人からは、
恭しくされて生きてきました。(メリットがあると感じて自分に近づいてきていると知った)
この頃から、基本的に人は信じられないという発想が芽生え、人の本心を掴もうと生きてきました。
更に、韓非子は元々荀子(性悪説・礼治思想)の下で学び、その後3名の師匠の書物から学びました。
(この3名は直接ではなく、書物から学びました)
①商鞅(法制度)
②申不害(人を掌握する7つの術)
③慎到(権勢・地位)
こういった幼少期・青年期の原体験、学問体験がその後の人生に大きな影響を及ぼすことが分かります。
韓非子の教え(韓非子から学ぶリーダーの心得)
そんな韓非子ですが、一体どんな言葉・思想を残しているのでしょうか。
勉強会では6つほど紹介しましたが、ここでは幾つかだけ紹介させて頂きます。
人は利で動く
▼言葉
王良、馬を愛し、越王勾践、人を愛するは、戦いと馳するとの為なり。医、善く人の傷を吸い、人の血を含むは、骨肉の親に非ず、利の加わる所なればなり。
▼現代語訳
・王良(という名ドライバー)が馬を愛するのは馬を走らせるためであり、越王が軍人を愛するのは戦いのためである。
・医者が患者の出来物を口に含んで治療をするのは、血を分けた家族だからというわけではなく、治療代がもらえるためである。
▼ポイント
・儒家は利益やお金の話を蔑む。それがなくても人は動くと考えている。法律・罰・ご褒美がなくても、人が動く社会をつくらなければならないというスタンスが儒家。
・一方、それだと人間社会が纏まらない、利益がないと人は動かないというスタンスが韓非子。
確かに、孔子が言うように、社会に徳を持った人で溢れ、また多くの人が世の為・人の為といような大義に生きることが理想的かもしれませんが、
やはり、韓非子が言うように一般的に人は「利」がないと動かないのも事実ですよね。
個人的には、リーダーになる人は孔子が言うような「徳」を磨き高め、
それによって周りの人から信頼・尊敬されることが理想(徳治主義)だと感じます。
一方、会社やチームを纏める上では、やはり1人1人が当然人間性を養うことも大事ですが、
やはり「利」を求めるという韓非子の思想を念頭に入れながら、そこにいる人が幸せになるような組織設計が必要だと感じました。
どちらか一方、どちらかが正しいというよりも、やはり双方の思想を上手く取り入れることが大事だと感じました。
崩壊する原因は中と外にある
これは、「法・術」に関する話ではありませんが、とても興味深く、参考となる言葉ですので紹介させて頂きます。
▼言葉
木の折るるや必ず蠧(と)を通じ、牆(かき)の壊るるや必ず隙を通ず。然れども木は蠧(と)ありと雖も、疾風無ければ折れず、
牆(かき)は隙ありと雖も、大雨無ければ壊れず。
▼現代語訳
・大木が折れるとは必ず虫食いが起こっている、塀が壊れるときは必ずひび割れが起こっている。
・ただ虫食いがあっても疾風がなければ大木は折れず、ひび割れが起こっていても大雨が来なければ塀は壊れない。
▼ポイント
・物事がうまくいかない時は、見える「外」の部分と、見えにくい「中」の部分の両方に問題がある。
・特に内部の問題は気づきにくいので注意が必要である。
この内容は特に今の日本社会に対する警鐘ともいえる内容だと感じています。
国家で考えてみると、国家が崩壊する時は、内部の腐敗と、外圧によると。
日本国家も長年のデフレから脱却できず、賃金も上がらない。
更には食料自給率・エネルギー自給率の低下で海外依存。国防についてもアメリカ依存。
日本国憲法、教育制度もアメリカに改定されたまま。
国家の基本インフラである教育・食・エネルギー・軍事が、脆弱な状態です。
こういった中、外圧要因が加わると国家が崩壊の危機にさらされてしまいます。
やるべきころは沢山ありますが、自分は日本人の教育という観点で、自分にできることをやっていきたいと考えています。
次回は9月17日(土)10時~11時30分で開催し、孫子を学んでいきます。こちらも大切な学びとなりますので、ぜひお気軽にご参加ください。
綜學は生きていく上で、自分の軸となる大切な学びだと思いますので、学生(高校生・大学生)や、20代の方はご自由にご参加下さい。また、周りの方で興味関心がありそうな方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけ頂けますと幸いです。
我々もまだまだ勉強の途中で未熟者ですので、引き続き真摯に綜學を学び、自分の人間力を磨きながら、少しでも自分の言葉で人に伝えられるように精進して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします!