「やまとことばで紐解く古事記の世界観」第8回 松南志塾_綜學勉強会を開催しました!
2021/11/28
本学勉強
こんにちは、松南志塾の豊嶋です!
松南志塾のOB・OGである豊嶋(インターン7期)と松葉(インターン11期)で、「綜學勉強会」を学生や20代の方向けに、月に1回のペースで開催しております。
この勉強会の開催の背景・目的として、現在私と松葉が綜學院(東京・京都)で月に1回林英臣先生のもとで、松南志塾の原点でもある「綜學」を自主的に学んでいるのですが、そこでの学びや、自分たちが得た気づき等を、学生や20代の若い世代の方々に対して自分のことばでお伝えし、一緒に未来や社会を良くするために切磋琢磨し合いたい!!という思いからです。
そして11月27日(土)に第8回目を開催しました。今回は4名(大学生2名、社会人2名)の方にお越しいただきまして、主催者含めて6名で開催することができました。お越しいただきました皆さま有難うございました!!
今回は、日本の原点中の原点である「古事記」ということで、大和言葉からひも解く古事記の世界観をお話させて頂きました。
綜學は、知情意の3本柱で構成されておりますが、今回は前回から引き続き日本人としての感性を養うための「情」の学問になります。
古事記は西暦712年に作られました。皇室の正しい記録が継承されないことを危惧された第40代の天武天皇が、稗田阿礼(ひえだのあれ)という記憶力に非常に優れた方に皇室の伝承を暗記させ、その記録を元に太安万侶(おおのやすまろ)という方が編纂し完成しました。
古事記は上中下巻の3部構成になっております。
今回の勉強会でお話しました内容は古事記の上巻の「冒頭部」でして、冒頭部には①宇宙の生成、②地球の成立、③人類の誕生と使命が描かれているため、古事記の中でも特に重要なポイントなんですね。
我々の祖先が、宇宙の生成、地球の成立、そして人類の誕生と使命(何のために人類は誕生したのか)について、どのように考えていたのかということが、鮮明に描かれています。
しかしながら、そのような重要な古事記冒頭部は、編纂以降1000年以上も読まれることなく封印されてきました。
理由としては、古事記の冒頭部は、「やまとことば」を漢字で表記して作られているのですが、その「やまとことば」の意味解釈の研究が進んでおらず、理解ができなかったからなんですね。それに加えて、西暦720年に誕生した日本書紀が日本の正史として扱われていたので、日本書紀の方を読まれるようになったのも大きな理由の1つです。
そのような封印を解き明かしたのが、かの有名な本居宣長です。彼は漢方の医者として生計を立てながら、古事記の意味解釈の研究を30年近くに亘って続け、ついに「古事記伝」を書することとなります。
過去の先人の弛まぬ努力の上に、現代を生きる我々の学問があるということを噛みしめなければなりませんね。
で、そもそもこの古事記が「今」この時代になぜ必要なのか?というお話ですが、綜學の「知」にあたる文明法則史学に基づきますと、今の日本はSS(ソーシャルシステム)が第二次世界大戦以降無い状態なんですね。実質アメリカの占領下にある状態です。
で、このSSは「政治・経済・文化の盛衰を表わす一塊」でありまして、今から新しいSSを興していくためには、まずは「文化」を興すことが重要であると林英臣先生は考えておられます。SSにおける文化は、A型文化~D型文化に分かれており、まずは最初のA型文化を起こす必要があるというわけですが、このA型文化とは「少年的で素朴な文化」です。(新しい国創りの最初に興る文化ですので、そのような少年的な文化になります)
具体的には叙事詩(英雄、神話)であったり、古典であったり。つまりは、日本人の原点である日本神話の「古事記」こそが、新しい日本をこれから創っていく上で、まずは国民全体に広まっていくことが重要だと考えています。今こそ原点回帰が必要です。
で、この古事記冒頭部分の内容なのですが、「やまとことば」一音一音の意味をしっかりと理解していれば、内容を深く理解することができるんです。
例えば、アマノミナカヌシノカミですが、「ア」は、「開く、明るい」という言葉があるように「開放」を意味しています。これは、母音について、「アエイオウ」の順に口がすぼんでいくと思いますが、1番大きく口を開けて発生させるのが「ア」になるので、「開放」を意味することに繋がります。
「マ」は、「間に合う、つかの間」という言葉で使われる場合「時間」。「剣道の間合い、間取り」という言葉で使われる場合は「空間」を意味しています。ですので、「アマ」とは、「時間と空間の開放、広がり」を意味しており、宇宙を意味することになるんです。
「ミ」は、「木の実、魚の切り身」という言葉があるように、その物体を構成している本源的な微粒子を意味しています。ですので、「ミ」には、「本源的、本質的」という意味があります。
「ヌ」は、「沼、塗る、ヌメヌメ」という言葉で使われますように、「一様に纏まっていく様子」が、やまとことば本来の意味する所です。
「シ」は、赤ちゃんにおしっこをさせるときに、『シーシー』と言いますよね。つまり、元来「シ」は「水」を意味しております。「滴る、しずく、湿る、潮」という言葉があることからも分かりますね。水にはあらゆるものを包み込んで統一していく作用がありますので、「シ」は、「統一」というのが本来のやまとことばの意味なんです。
このようにして、アマノミナカヌシの神は、「宇宙の本源的な中心であり、全体を一様に統一する働き・作用」を意味することになります。このようにして、やまとことば一音一音の意味が分かれば、古事記冒頭部に描かれている①宇宙の生成、②地球の成立、③人類の誕生・使命を深く理解することができるわけなんです。
また、古事記の冒頭部分には、たくさんの『カミ様』がでてきますが、日本人にとっての「カミ」とは英語のGODのような唯一の絶対神を意味しているのではないというお話もさせて頂きました。
やまとことばで、「カ」とは、「影、霞む、風、雷、空」という言葉で使われるように、「はっきりしない様子、奥深さ」を意味しています。「ミ」は、先ほど書きましたが、『本源的、本質的』という意味が本来あります。ですので、「カミ」とは、『はっきり目には見えないけれど、本質的に確かに存在している尊い働き・作用』を意味しているんですね。
そこから転じて、『尊いものは全てカミ』と捉えるようになったのが日本人です。例えば、大切な頭を守る髪(カミ)の毛とか、当時貴重なペーパーも「紙(カミ)」、縄文時代から土偶に妊娠線が描かれているように子どもを産める女性も尊んでおり、「うちのカミさん」と呼びますね。
今でも、『もったいない』という言葉を使い、あらゆるモノを大切にするのが日本人の在り方ですが、先ほど説明したように人間を含め、モノ・動植物といったあらゆる存在に価値を見出して大切に尊ぶ感性は、ご先祖から続くDNAなんですね。
これ以降の説明は割愛しますが、このような形で勉強会を進めていきました。
参加者の方からは、
『何げに自分自身が話している日本語に愛着が湧きました。大和言葉の意味やなり立ちをもっと知りたいと思いました』
『昔の人の『カミ様』に対する考え方がすこし理解できた気がしました』
『毎回参加して学ぶ重要さを感じました。過去何回か参加して点だったものが徐々に線で繋がって大枠だけ掴めています』
『日本の文化は現在も形は少しづつ変化していますが、日本人としての本質的な部分は継承されている事に気づきました。そのことからヨーロッパの考え方の方が先進的として短絡的に取り入れるのではなく、既存の日本の文化を深く理解してからヨーロッパ文化の良いところを取り入れた方がより進歩すると感じました。また、ヨーロッパの文化を表面的にコピーするだけでは日本の文化の独自性が無くなり個性が無い国家になるのではないかと思いました。』
というようなコメントを頂きました。この勉強会を通じて、参加者の方の人生が実り多きものとなるための気づきが1つでもありましたら非常に嬉しく思います。
自分は、「志のある人を増やす」ということを志として、林先生から学んだ事を自分の言葉でお伝えさせて頂くために、綜學勉強会を引き続き開催して参ります!!!!
次回は12月26日(日)10時~11時で開催し、東洋思想についてお話させて頂きます。
今まで8回に亘り、綜學の『知』と『情』についてお話させて頂きましたが、次は最後『意』の内容です。この『意』の学問を学び、腹に落とすことで、ブレない生き方を確立したり、ブレない生き方に向けて一歩踏み出すことができます。
綜學は生きていく上で、自分の軸となる大切な学びだと思いますので、学生(高校生・大学生)や、20代の方はご自由にご参加下さい。また、周りの方で興味関心がありそうな方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけ頂けますと幸いです。
我々もまだまだ勉強の途中で未熟者ですので、引き続き真摯に綜學を学び、自分の人間力を磨きながら、少しでも自分の言葉で人に伝えられるように精進して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします!
以上です。(^^♪